非実在


[OLYMPUS XA/FUJICOLOR 100]

 自分の中で、写真に関してはフィルム→デジカメ→フィルムと、実在→非実在→実在的な変遷を経験してきたわけですが、ここ数年、本に関してはドキュメントスキャナでデジタル化(自炊)に勤しんでいます。つまり実在→非実在化をすすめているわけだけど、これはデジカメが出始めの頃の、もう今後はデジカメでOK、フィルムカメラはいらないジャン…という時期に相当していて、そのうちに揺り戻しで「やっぱり本もデジタルじゃなくて実在する本の方がいいね」と言う時期が来るのか、それとも揺り戻さずに、実在書籍と電子書籍が併存していくのか…
 個人的に電子書籍を買う気にあまりならない。というのも、実在の書籍はその会社が倒産しても、本は手元に残っているので読めなくなることは無いけれど、電子書籍は提供している会社が倒産したり、倒産しなくても電子書籍事業から撤退したら読めなくなるかもしれないというのが心配。実在書籍に当てはめると「ある日、黒服サングラスの男がやってきて『当社は出版業界から撤退することが決まりました。つきましては当社の書籍を回収させていただきます』と自分の本棚からその会社の書籍だけ回収されてしまう」的な、まるで星新一ショートショートにでも出てきそうなことが起こってしまうかも…杞憂かもしれないけれど…というのが、自炊はするけど電子書籍に踏み出せない一因かもしれない。だから、図書館が自分の手の中に的なKindleのCMを見ても「け」と思ってしまう。
 まあ「電子書籍じゃ、お金に困った時に古本屋に売れないじゃねーか」という意見の方が説得力はあるけどね。